頭の中の気分で気ままに連載小説書いていきます、 よろしかったらどうぞ、週一ペースであしからず。 第一弾はグリーンハイツ






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安全確実にちょっとづつでも



 グリーンハイツ 第一話

                                             再会

ブーンブーンブルルルプルルルブーブーン

「しかし熱いな、たまんねーよまったく、こんなんで本当に北千住まで行けるかね」

「まあまあ、のんびり行こうよ、車ちゃん休ませながら、ねっ」



夏真っ盛り、そんな8月のとある日。横浜の田舎町から一路北千住に向け、首都高を一台の白い

ポンコツ軽自動車が爆走していた。爆走と言ってもかっこよくスピーディーに疾走している

というような意味ではない。音だ、その音だ。商店街を走れば50メートル先の歩行者

までもが振り返る、夜,住宅地を時速5キロ程度で走っても赤ん坊が泣き出す、暴走族のような

その音だ。ちなみに(音を)出したくて出しているわけではない、マフラーのあちこちに穴があいて

いるらしく,やむを得ず漏れてしまっているのだ。だから当然スピードなど出るはずもなく、

冒頭でポンコツと言ったが、いわゆるポンコツに失礼なくらいだ。ましてや,ここはハイウェー、

天下の首都高である。まわりの車は,と言えば涼しい顔ですいすいと滑るように走っている。

窓も閉まっている。こちとらは窓全開、最高速度ベタ踏み70キロ、気温35度、車内40度

クーラーどころかクラクラだ。まあそれはいいか、とにかくあおられっぱなしである。

その過酷な戦場でどれだけご老体にむちをふるっていることか、今にも爆発したって

何ら不思議はないのである。しかしそんな過酷な条件を乗り越えてでも、私たちはどうしても

北千住までたどり着かなければならなかったのだ。(て言うか電車で行けよ)そりゃそうだ。



それは一本の幼なじみからの電話から始まった話である。

かれこれ5年近く会っていなかっただろうか、その幼なじみに彼女が出来てそろそろ結婚する

らしい、家もそれに備えて新しく広いところに引っ越した、だから今度遊びにこないか。

簡単に言えばそう言うことだった。がしかし、しかしである。

今年でお互い33歳お付き合い暦33年、0歳児からの古い古いお友達である。

とはいってもしょっちゅう会っていたわけでもないが、現に5年近く会っていなかったわけだし、

でも幼なじみと言うのはそう言うもんではない。

言わば兄弟に毛が生えた感じである。(なんのことやら)まったく会っていなくても,毎日顔を

付き合わせていてもそんなことは二人の絆に何の関係もないのである。

しかしなんとそんな幼なじみの彼女に会うのは(紹介)されるのは私にとって初めての事だった

のである。なぜか彼は今まで自分の彼女を以前付き合っていた子も含めて一度も紹介してくれ

なかったのだ。おそらくガキの頃からの付き合いで生い立ちも全て分かり合っているので

照れくさかったのだと思うが、それにしても私にとって大変めずらしく貴重な事だった。

私は勝手にどんな子なんだろうと想像しながら、そしてこれは大変だ善は急げという事で、

只今首都高爆進中となった次第である。


「もしもし毅、俺だけど、もうすぐ上野なんだけどこのまま真っ直ぐでいいのかな」

「そうそう、そのまま真っ直ぐ行けば自然に高速降りるから、そしたらまた電話して」

「はいよ、じゃまた」

どうやらこの熱く険しい長旅も,無事終わりを迎えられそうらしい、まあ助手席のくるみは

塩をかけられたなめくじの様にぐったりしていたが、それでも無事着きそうだとわかりほっと

している様子だった。

「とりあえずコンビ二行きたいな」

そんな一言がくるみの心労を物語っていた。爆進号は無事高速を降り一番最初に見えた

コンビニに立ち寄る事となった。ちなみにこのときの体感温度は40度を超えていた。

くるみは車を飛び降りると,一目散にコンビ二にトイレを借りに入って行った。

その時毅から電話が掛かってきた

「もしもし堀、今どこ」

「高速降りて一服中、もう側だと思うよ」

「そうだね、そしたら3番目の交差点左折して、そこで待ってるから」

「わかった、じゃあね」

電話が終わる頃、すっきりした様子でなめくじがビニール袋いっぱいのビールを抱え、

かたつむりになって帰ってきた。

「よし、じゃあ行こう,もうすぐらしいよ」

「本当、良かった」

それから10分程走っただろうか、ビールがぬるくなる前にと、片側三車線の広い広い

都会の道を40キロと決まっている法定速度限界で飛ばした(爆進号にはちとつらいが)。

そして大通りを左折してすぐの駄菓子屋さんの前に立っている見覚えのある懐かしい

顔を見つけた。「ひさしぶり」。


「久しぶり、これが亜矢子です、よろしくね、そんでこっちが堀で奥さんのくるみちゃん」

毅が一人一人丁寧に紹介してくれた。

「よろしく堀井英之とくるみです」

第一印象としては少し異様に思ったかもしれない、それは亜矢子の方が毅よりも、ヒールを

履いていたせいもあるのか、身長が10センチ近く高かったからである。しかしそんな印象は

少し話しをしただけですぐに吹き飛んでしまった。それはとても二人がはまっていたからだ。

見た目のギャップが逆に微笑ましく見えるほどだった。そう本当にお似合いだったのである。

どちらかと言うと体格も小さめで、温厚で人当たりがよく、やさしい感じがする丸顔の毅に比べ、

女性にしては170センチ以上は軽くあるモデル並みのスタイルに、初対面でも物怖じしない

腹の据わった感じの亜矢子、その二人が絶妙な関係を築いているとすぐにわかったからである。

私は、毅の彼女初体験という事で、もっと自分がおどろいたり緊張したりするのかと思っていたの

だが、まったくそんなこともなく、まあそれは亜矢子がそう言うタイプと言う事もあると思うが、

(どういうタイプかは後ほどゆっくり)なんだか昔から亜矢子の事も知っていたんじゃないのかと

錯覚するぐらい自然な最初だった。

そしてなんと言ってもこう言う場面で一番大事なのは女同士の愛称につきる、と言っても過言では

ないだろう。そこさえクリアしてしまえば,もう後の事は目をつぶってたって楽勝である。

ちなみに,くるみに関して言えば一言で言って大物、の二字に尽きる。体格は超小物なのだが、

なにしろ人間的に器がでかいのである。少々の事は屁とも思わず,今までもいろいろと危機に

面したのだが、大抵の事は笑って乗り越えてしまった。(と言う事は爆進号はよほどひどいのか)

そしてそんな彼女の手の平で、自由に平泳ぎでもしているのが私と言う事になるのだろうか。

ただ、当の本人、筋肉もりもりのくるみは,手の平の私の重さなど、これっぽっちも気づいていな

いが。

そして案の定、女同士問題はなんなくクリアした、と言うよりも愛称バッチリだったのである。

まあ、それはそうかもしれない、どう考えても我々男チームよりもはるかに男らしいのだから。

私は、さすが俺たち(私と毅)と、心の中で自画自賛していた。そして初対面にもかかわらず

自己紹介もそこそこに、さっそく

「のどカラカラだー、ビール飲ましてくれ」

と、毅の新居で堀井英之、くるみ、辻口毅、千葉亜矢子4人の

始めましてお泊り大宴会をすることになったのだった。

「よし今夜は飲むぞー」

つづく


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 グリーンハイツ 第二話

「おじゃましまーす」

さすがにもうそろそろ新婚と言う感じの、こ洒落た部屋だった。どう考えても亜矢子のセンスだと思

うが,シンプルな中に少しずつアジアンテイストをちりばめたような,すごく雰囲気のある落ち着く

部屋だった。唯一、毅の匂いがしたのは漫画が並んでいたトイレぐらいのもんで後は全く無臭

だった。

それでは何故、毅のセンスではないと言い切れるのかというと、時は高校時代にさかのぼる。

私は、夜な夜な親の目をぬすんで毅の部屋に遊びに行っていたのだが、それがまたひどかった

のだ。足の踏み場もないなんて遠い昔に通り過ぎていて、部屋全体が足の踏み場なのだ。

その部屋の真中にどかんとひいてある江戸時代から上げた事もないようななんとも不気味な

布団、まず間違いなくキノコを栽培していたのだろう、そして、なんと言っても極めつけが部屋に

居る間中くしゃみが止まらないのである。いったい何が生息しているのであろう、未だに謎である。

とまあ例を挙げるときりがないのだが、

要するに毅のセンスじゃないと言う事はわかって頂けたろう。



プシュッ プシュッ プシュッ

「じゃあとりあえずよろしくと言う事で、かんぱーい」

爆進号で真夏の3時間ドライブと言う前代未聞のチャレンジをした結果、脱水寸前まで体を酷使

していたので、この夜のビールは格別だった。となりを見ると、戦友のくるみも無言でゴクゴクと

あたかも砂漠で路頭に迷った旅人がオアシスにありつけたかのようにビールを吸収していた。

普段、自分の家で飲むときなどは二人で缶ビール1本、そのあとすぐ焼酎となるのだが、やはり

この夜は暗黙の了解で2本目、3本目と炭酸でお腹が膨れ上がるまで黄金の水を楽しんだ。

「こんなもんしかないけれど、よかったらつまんで」

そしてさらに、水分補給を無我夢中で楽しむ我々に対し、亜矢子がこれまた最高に気の利いたア

イテムをテーブルにならべてくれたのだ。ちなみにメニューはビールの永遠の親友、えだまめを

初め、奴、焼き魚、サラダ、お浸し、それにフライパンではじけまくったポップコーンと、

思わずあんたも相当やる口だね、と言いたくなるような代物ばかりだった。それに加えこの後も

頃合いを見てはちょこちょこと、つまみを作っては出してくれていた。

私としては酔っ払うのにこの上ない状況が整いすぎていた。久しぶりに会った幼なじみ、その気心

を知りすぎている幼なじみの落ちつく家、にもかかわらず居酒屋並みの待遇、そしてなんといって

も、今夜はお泊り、お家に帰らない。テンションを上げるなと言う方が無理である。

と言う事で、自然とお酒の方もビールから芋焼酎へと、テンションを上げていった。

それから2時間ぐらいは経っただろうか、二人の馴れ初めから両親の話までと、とにかくたわいも

ない話をしながら4人の親交を深めていった。



「しかし二人とも本当に仲良いよね、あたしなんか幼なじみとかいないから本当うらやましいよ」

そう言う亜矢子に、くるみも、うんうんとうなずいていた。実際そうなのかもしれない、この世に生を

受けて一年にも満たないうちからの知り合いが、33年の時を経て、今だにこうしてたまに会って

飲んだりしているのだから。

「まあそうかもね」

ちょっと酔っ払ってきた毅が恥ずかしそうに答えた。

「それに同じ年でしょ、本当珍しいよね」

ほっぺを真っ赤にしながらくるみが言った。

「そうだよな、周りから見たら珍しいかもしれないな、でも俺たちには別にあたりまえなんだよね

だって物心ついたときにはすでに存在してて、何するんでもいつもいっしょだったから、涼太も含

めて3兄弟みたいなもんなんだよな」

私がそう答えると毅が

「そうそう、だから不思議なことじゃないんだけど、だけどある意味ラッキーかも、俺一人っ子だけ

どそんなにさみしくなかったかもしれない、本当3兄弟だね」

ちなみに涼太とは、私の3歳年下の弟で、ある意味毅の弟でもあった。

「へー良かったねそう言う環境で、でもそれが今だにだもんねやっぱうらやましいよ」

お酒を作りながら亜矢子が言った。ちなみに、この時みんなのお酒を作ってくれていたのだが、

それがなんとも豪快だった。手で氷をつかみ、グラスにどかどかと入れ、焼酎をドボドボと注ぎ、

どうぞ見たいな、見かけからは想像もつかないが、かなりのワイルドウーマンである。

もちろんその中に初対面の私たちの分も入っていたが、しかし、その迫力に圧倒され

「手洗っの」とはとても聞けなかった。(余談)

「確かに、俺たちもまさかこの年までいっしょに遊んでいるなんて思ってなかったもんな」

グラス片手に私が言った。

「まあそうかもね、あの頃はそんな先の事なんて毎日刺激が強すぎて、とても考えていなかった

もんね。しかし面白かったよな、三号さんとか」

毅の話に、私は思わずふきだしてしまった。

「やばかった、やばかった、いやー本当強烈だったよ」

私たちは周りに人がいることをすっかり忘れそうになっていた。

その時、芋焼酎の豪快ロックがほどよく体内を回り始めたくるみがおもむろに聞いてきた。

「そう言えば二人って、同じアパートに住んでいたんだっけ」



そう、ここからが本番である。

確かに今までの話で子供の頃から仲が良かった事は、ある程度わかって頂けたろう。

所が、所がである。この二人、私、堀井英之と辻口毅がどんな環境、どんな状況で産まれ育って

きたかまではわからないだろう。今思えばかなり強烈な環境だったような気がするし。逆にかなり

ついていたような気もする。

まあとにかく、相当面白い幼少期を過ごさせてもらった事は間違いない。

そして今から、その時代にタイムスリップして頂こうと思う。



毅が言った

「グリーンハイツ!!どんなとこだか聞きたいでしょ?でもその話をするには少々お酒が足りない

ような気がするな。近くに朝までやってるどうでもいい感じのバーがあるんだけど、そこ行かない」

普段はそんなに飲む方ではない毅のそんな提案で、私たち4人はじっくり陶酔するため、歩いて

5分程度の所にある(ふるさと)と言う場末のバーにステージを移す事にした。

私は内心かなり嬉しかった。それは毅のテンションが超久々にウナギのぼりだったからだ。

ただ、女の子たちはふるさとに着くまでの間ずーっとぶつぶつ文句を言っていたが。

「だからグリーンハイツって言うアパートに住んでたんでしょ。別に自分の家でもいいじゃない。な

んでふるさとなのよ」

と、しかし私たちはそんな事おかまいなしで、すでに顔からは笑みがこぼれていた。

何かをたくらんでいるかのように、にやにやと。

「まあまあ焦るなって、これからゆっくり話すから」と心の中で言いながら。

つづく


  


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グリーンハイツ 第三話

カランコリン、カランコリン。



ドアを開けると、何故毅がこの店を選んだのかが、なんとなく分かった。それは店の作りがどう

とかの問題ではない。店の作りに関して言えば、本当に渋い、いわゆるBARだった。

それこそ、今時の店みたいに、わざとレトロ調の雰囲気にしているのではなく、建物や,店の内装

、カウンターの材質まで、本当に時代を感じる使い古された渋い店だった。

では,金曜の九時だと言うのにお客さんの数が、カウンターの端で黙々と

大学ノートに何かを書いている、どうみても小奇麗じゃない若者一人だけだった。

という事だけでもない。

カウンターの奥に、二畳位の小さな部屋らしきものがあるのだが、どうもその部屋の座椅子で、

私たちが入ってきた事にも気づかず、こっくり、こっくりと、転寝をしているマスターらしき人物に、

気づいたからだった。なんて放任主義の店なんだ。

だが、毅は、手馴れた様子で、

「ここ座ってて」

と、この店で唯一の、ちょうど四人座れるテーブルに私たちを案内し、何のためらいもなく、

いねむりしているマスターに声をかけた。

「ママ、おはよう、このボトル持っていくからつけといて、あと氷とグラスお願いね」

私とくるみは目が合ったまま動けなかった。なに、ママ!!それを見ていた亜矢子が、笑いをこら

えながら、まあそう言うことだからよろしくね、と、これまた目で訴えていた。しばらくすると

そのママが、グラスやら氷やらをカウンターの上に出し、それを毅が当たり前のように、

私たちが座るテーブルまで運んできた。そしてこう言った。

「いいでしょ、ここ、つまみもまあまあだよ」

我が家のように振る舞う毅に、私たちは,さすが東京の人間はちがうな、と、違う意味で感心して

いた。するとそこへ、寝ぼけ眼のママと言うか、おばあちゃんがやってきた。確かによく見ると

スカートをはいていた。

「いらっしゃい、久しぶりだね、ゆっくりしていきな」

なんと淡白な事か、そんだけ言ってすぐ戻りかけたので、私たちはあわてて

「すいません、注文いいですか!」

と思わず叫んでしまった。もし、彼女をそのまま行かせてしまったら、もう二度と起きないよ

うな気がしたからだ。だが、慌てて呼び止めてしまったものの、肝心の注文を決めておらず、

あんまり待たせると、今度はこの場で寝てしまいそうなので、大至急、毅おすすめの焼きそばと、

一応、チーズの盛り合わせをたのんでおいた。

おそらく普段、横浜で飲んでいて、もしこんなお店に万が一、間違えて入ってしまったとしても、

間違いなく2秒で店を出ていただろう、その位どうでもいい店だった。

しかし、何故か空気は笑いで満ちていた。それはあのママのせいなのか、それとも今夜の

気分なのか、まあどっちにせよ、くやしいながらこの店を少し気に入りかけていた。

あっそうだ、言うのを忘れていたが店内には、ザ・バンドのクリプル・クリークが流れていた。



「じゃあ、本日二度目のかんぱーい」

のりにのってきた毅が、音頭を取った。しかし私は、どうしてもあのおばあちゃんが、料理できる

のか心配で,思わず聞いてしまった。すると毅は

「大丈夫だって、心配いらないよ、本当に旨いんだから、出てくればわかるよ」

きっぱりそう言った。そして

「そんな事よりさ、堀、この店でなんか思い出さない」

逆に、そう問い掛けてきたのである。私は、えーなんのことやらと、不思議そうな顔をしていると、

「だから、名前、店の名前だよ」

と毅が言った。その瞬間、ダムが決壊したかのように、一気に記憶がよみがえって来た。

ふるさとか。私は、何故毅がこの店を選んだのか、勘違いしてたみたいだ。

そして完全に、この店のファンになってしまった。

「なるほど、毅もにくい演出するね、そうか、そう言うことか」

毅のそんな粋な計らいで、私の頭の中は一気にあの頃に帰っていった。

そう言えば、昔、俺たちが住んでいた家の近所にも「ふるさと」と言う名前の小料理家があったっ

け、そしてその店も、おばちゃん一人で切り盛りしていたよな。そうだったな。



「毅、そう言えばこの間、うちのお袋が、たばこ屋のきよこちゃんにあったらしいよ」

「本当、どこで」

「どこって、大丸ショッピングセンターだよ、まだ一人で店やってるらしいよ」

「そうなんだ、まだやってるんだ、そうか・・・懐かしいな・・・・じゃあ元気なんだね」

「だと思うよ、それからうなぎ屋がつぶれたらしい」

「それは、古いよ,もう三年以上も前の話だよ」

そうやって、私たちだけで盛り上がっている昔話は、くるみも亜矢子も、一切知る由もなかった。

なんとかショッピングセンターだの、きよこちゃんだの、さっぱり意味がわからなかったはずだ。

だが、徐々に、知らず知らずのうちに惹かれはじめ、気づけば、のめりこんでいた。

なぜなら、それだけ私たちが一心不乱に、取り付かれたように語り合っていたからだろうし。

そして、なんと言っても、それだけグリーンハイツが、斬新で魅力的だからだろう。



毅が、煙草に火を点けようと、一瞬、間があいたその時、頃合いを見計らったように、

湯気の立ち上った最高に旨そうな焼きそばと、山盛りのチーズ盛り合わせが出てきた。

「ゆっくりしていきな」、そう付け加えて。



それでは、行ってみましょう、私と毅が生まれ育った城。グリーンハイツへ。

つづく


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